外でもエシカル:ランチや職場の食事での選び方・楽しみ方
倫理的な食生活に興味を持ち始めたとき、日々の食卓はもちろんですが、「外で食べる時や職場でランチをどうしよう?」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。限られた選択肢の中で、どのようにエシカルな選択を取り入れれば良いのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
このコラムでは、外食や職場での食事の時間でも、無理なくエシカル(人や環境に配慮した)な視点を取り入れるための具体的なヒントや工夫をご紹介します。全てを一度に変える必要はありません。小さな一歩から、ご自身に合ったペースで試してみてください。
なぜ外や職場で悩むのでしょう?
エシカルな食生活を実践する上で、外食や職場での食事がハードルに感じられる背景には、いくつかの理由があると考えられます。
- 選択肢の限定: 街中や職場の近くには、すべての倫理的な選択肢に対応したお店があるわけではありません。
- 周囲の視線や理解: 自分の食の選択について、同僚や友人からどう見られるか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
- お店への配慮: メニューにないものを頼んだり、特別な要望を伝えたりすることに抵抗を感じる場合もあります。
- 情報の不足: どのお店がどのような食材を使っているか、エシカルな取り組みをしているかなどの情報が得にくいことがあります。
こうした不安は自然なことです。大切なのは、完璧を目指すのではなく、今の状況でできることを探していく柔軟な姿勢です。
外でもエシカルを取り入れるステップ
では、具体的にどのようなことから始められるでしょうか。いくつかのステップに分けて考えてみましょう。
ステップ1:まずは「知る」ことと「意識する」ことから
最初から全てを変えようとせず、まずは情報収集や意識改革から始めましょう。
- 利用できるお店を調べる: 普段利用するお店のメニューに、植物由来の選択肢(プラントベースと呼ばれる、動物性食品を使わないメニューなど)があるか、地元の食材(地産地消)を使っているかなどを、ウェブサイトや口コミで調べてみましょう。
- コンビニやスーパーの棚を見る: コンビニやスーパーでも、オーガニック(有機栽培)の製品や、フェアトレード(開発途上国の生産者に適正な価格で取引を行う)認証の付いた商品、大豆ミートなどのプラントベース食品が増えています。どんな商品があるか、意識して見てみましょう。
- 「今日は少し意識してみよう」と決める: 例えば、「今日は野菜多めのメニューにしよう」「フェアトレードのコーヒーを選んでみよう」のように、具体的な目標を持つと意識しやすくなります。
ステップ2:お店選びのヒント
外食の機会がある場合は、お店選びの段階でエシカルな視点を取り入れてみましょう。
- 選択肢が多い場所を選ぶ: フードコートや駅ビル、商業施設など、様々なお店が集まっている場所なら、多様なメニューの中から選びやすいです。
- メニュー表示を確認する: 最近は、ベジタリアンやヴィーガン対応のメニューにマークが付いているお店も増えています。
- 地元食材に注目: メニューに「〇〇県産野菜使用」といった記載があれば、地産地消に貢献できます。
- 量り売りやビュッフェ: 必要量を自分で選べるお店なら、食べ残し(フードロス)を減らすことにつながります。
- マイ容器の利用: テイクアウトの際、可能であればマイ容器やマイカトラリーの使用を検討してみましょう。事前に店舗に確認するとスムーズです。
ステップ3:メニュー選びと工夫
お店のメニューから、エシカルな視点で選ぶ工夫をしてみましょう。
- 既存メニューをアレンジ: 可能であれば、注文時に「お肉抜きで野菜を多めにできますか?」などと尋ねてみるのも一つの方法です。全てのお店が対応できるわけではありませんが、試してみる価値はあります。
- 副菜やサイドメニューを組み合わせる: 定食の小鉢や、単品のサラダ、おひたしなどを組み合わせて、植物性食品中心の食事にする方法もあります。
- シンプルな和食を選ぶ: 蕎麦、うどん(かけうどんなど)、おにぎり、豆腐料理などは、比較的植物性食品が多く、選びやすい場合があります。
- コンビニ・スーパーの賢い利用法:
- サラダやカットフルーツ
- お惣菜(野菜中心のもの、豆を使ったものなど)
- おにぎり(梅、昆布など)
- 豆腐製品や納豆
- オーガニック認証やフェアトレード認証のパン、お菓子、飲料
- 大豆ミートを使った商品(最近増えています)
栄養バランスが気になる場合は、意識的に様々な種類の野菜や豆、海藻などを選ぶようにしましょう。
ステップ4:周囲とのコミュニケーション
同僚や友人との食事の機会も大切にしたいものです。どのように伝えれば良いか悩むかもしれません。
- 難しく考えすぎない: 全てを細かく説明する必要はありません。「健康のために」「環境に配慮して」など、簡潔に伝えてみるのが良いでしょう。
- 自分の「選択」として話す: 自分の食の選択を、誰かに強要するのではなく、「私はこのように選んでいます」というスタンスで話すと、相手も受け入れやすくなります。
- 一緒に楽しめるお店を探す: 皆で食事に行く場合は、事前に選択肢の多そうなお店を提案するなど、協力する姿勢を見せることも大切です。
体験談:ランチタイムの小さな変化(架空の事例)
ここで、実際に外や職場でエシカルな食生活を取り入れ始めたAさんの例をご紹介します。
Aさんは、以前は職場の近くの定食屋さんで日替わりランチを選ぶことが多かったのですが、エシカルフードに興味を持ってから、少し意識を変えてみました。
- 火曜日: 以前から好きだった、職場の近くのスープ専門店を利用することに。毎週火曜日は「野菜たっぷりミネストローネ」と決めています。
- 水曜日: コンビニを利用する際は、意識してサラダと納豆巻き、フェアトレード認証のチョコレートを選ぶようになりました。
- 木曜日: お弁当を持参する日を増やしました。前の日の夕食のおかずを多めに作っておくなど、無理のない範囲で続けています。
最初は「周りの人にどう思われるかな」「毎回違うお店を探すのは大変そう」と少し不安もあったそうですが、実際に始めてみると、コンビニやスーパーにも意外と選択肢があることに気づき、外食の際も「今日は〇〇を選んでみよう」と考えるのが楽しみになったそうです。完璧でなくても、できることから少しずつ取り組むことで、気持ちよく続けられていると話していました。
無理なく続けるために
外や職場でもエシカルな食生活を続ける上で、最も大切なのは「無理をしない」ことです。
- 完璧主義にならない: 全てのエシカルな条件を満たすのは難しい場面もあります。時には「今日はこれでOK」と柔軟に考えることも必要です。
- 小さな目標から始める: 週に一度だけ、ランチをプラントベースにしてみる、コンビニでオーガニック商品を選んでみるなど、達成しやすい小さな目標を設定しましょう。
- 情報を味方につける: 関連情報を発信しているウェブサイトやアプリ、SNSなどを活用して、新しいお店や商品の情報を得るのも有効です。
まとめ
外食や職場での食事は、日々の生活の一部です。そこでエシカルな視点を取り入れることは、少しの意識や工夫で十分に可能です。最初から気負いせず、「できることから、無理なく」を合言葉に、ご自身のペースで楽しみながら挑戦してみてください。
小さな一歩が、あなたのエシカルフードジャーニーを豊かにしてくれるはずです。